今回は、自作PCユーザーにはお馴染みの【MSI】から発売されている、AIO水冷クーラーについてのお話です。
ここ最近、[Intel 第13世代CPU]や[AMD Zen4シリーズ]について、性能のリーク情報が話題になっています。新しいCPUではその性能と共に、消費電力や発熱具合にも注目が集まっているようです。
どちらもブーストクロックが5.7GHzを超えると噂されており、実際の性能がどうなるのか非常に楽しみですね!
現行のCPUにも当てはまりますが、CPU性能が高くなるほど、CPUクーラーの冷却性能も重要になります。
そこで今回は、現行のハイエンドCPU【Ryzen 5950X】をサンプルに、MSI製ハイエンド簡易水冷【MEG CORELIQUID S360】の冷却性能についてご紹介します!
【機材協力:MSI】
【MEG CORELIQUID S360】MSIのハイエンド簡易水冷でRyzen 5950Xを冷やす!実力検証レビュー
CORELIQUID S360 の特徴について
静音性と冷却性能を両立した水冷クーラー
今回ご紹介する[MEG CORELIQUID S360]は、2021年11月に発売されたMSI製のAIO水冷クーラーです。
この製品を一言で表すならズバリ「静かでよく冷える!」
主要パーツには、360㎜ラジエーターやAsetek社の第7世代ポンプが採用されており、発熱が大きいハイエンドCPUであってもしっかり冷やせる性能を有しています。
また、静音性に優れた120㎜ファン[MEG SILENT GALE P12]が3つ付属しています。こちらは、制御ソフトの[MSI Center]を活用することで、低負荷時にファンを完全停止させることも可能です。
そのため、「高負荷なゲーム中や動画編集時にはしっかり冷やし、低負荷な動画視聴やネットサーフィン中は静かに冷やす」といったメリハリがつけられます。
現行のソケットに加えて、LGA1700やAM5 Socketにも対応しているので、今後販売されるIntel 第13世代CPUやAMD Zen4シリーズでも活躍が期待できるところもポイントです。
液晶ディスプレイを搭載した水冷ヘッド
水冷ヘッド部分には2.4インチのIPS液晶ディスプレイが搭載されています。
この画面上には、任意の画像や動画を表示できる他、水温やCPU温度・ポンプの回転数などのシステム情報も表示できます。
モニタリングソフトを立ち上げずとも、CPU温度などの状況がすぐ分かるのは嬉しいですね。
さらに、水冷ヘッド部分には60㎜ファンも搭載されています。このファンをPC負荷に応じて回転させることで、マザーボード上のVRMやM.2 SSDも冷やせるようです。
「見た目よし・機能よし」な水冷ヘッドは、サイドパネルが透明なPCケースによく映えます!
IPSパネルで視野角が広く、輝度が低い点を除けば映りも綺麗ですので、とてもオススメな機能です。
簡単・便利な制御ソフト[MSI Center]
ディスプレイ表示やファンの制御機能を利用するには、水冷クーラーとマザーボードをUSB 2.0ピンヘッダで接続し、制御ソフトの[MSI Center]経由で設定する必要があります。
個人的には、マザボ系のユーティリティソフトは導入したくない派なのですが、これを使わないことには[MEG CORELIQUID S360]の良さがフルで発揮できないため、渋々導入しました。
ただ、いざ使ってみると思っていたより便利で、制御自体も簡単に行なえました👍
実際に[MEG CORELIQUID S360]で使用する、[LCDディスプレイ]と[ファン設定]の2項目を軽くご紹介します。
[LCDディスプレイ]の項目
IPS液晶ディスプレイの表示内容を変更する場合には、[LCDディスプレイ]から設定を行います。
[ハードウェアモニター]では、CPU温度やファンの回転数など、システム情報を最大5つまで選んで表示させることができます。モニタリングソフトを利用せずとも、気になる項目がパッと確認できるので中々に便利です。
[ビデオ/イメージ]では、JPG・GIF・MP4形式のデータを表示させることができます。表示サイズは320x240pxです。MP4形式の動画は最大5分まで登録できました。
わざわざ動画を320x240pxに編集する必要はなく、MP4の動画をそのまま[MSI Center]経由で登録すれば、自動的にエンコードしてくれるようです。動画時間が5分を超えている場合は、登録時に任意のタイミングでトリミングできます。
余談ですが、登録した動画データは[C:\MSI\MSI Center\Coreliquid\LCD\ImageH]の中に格納されていましたよ。
その他にも、[システムクロック]や[ライブウェザー]といった項目が用意されています。
好みや気分に合わせて、表示内容を気軽に変更できるところがグッドポイントです👍
[ファン設定]の項目
ラジエーターのファンやポンプ・水冷ヘッドの60㎜ファンを制御するには、[ファン設定]の項目から行います。
お好みでファンの回転数を決められる[Customize]の他に、[Silent]・[Balance]・[Game Mode]のプリセット3つが用意されていました。
静音性をより重視したい場合は[Silent]、しっかり冷やしたい場合は[Game Mode]、その中間の[Balance]といった設定になっているようです。
任意の設定が行える[Customize]では、CPU温度を基準に、どれだけファンを回すのかを調整できます。編集できる頂点が4つしか無いのが玉に瑕ですが、マウス操作で簡単に調整が行なえますよ!
ちなみに、一度設定した内容は、PCをシャットダウンしても引き継がれました。そのため、MSI Centerを常駐させておく必要はなさそうです。
特徴まとめ
ここまで【CORELIQUID S360 の特徴について】ご紹介しました。
ポイントを簡単にまとめると、下記のとおりです。
- 信頼性の高い、Asetek社の第7世代ポンプを搭載
- 熱が飽和しにくい、360㎜サイズのラジエーターを採用
- 静音性に優れた、[MEG SILENT GALE P12]が3つ付属
- 低負荷時にファンを停止させる、[0 RPM]モードにも対応
- LGA1700やAM5(LGA 1718)など、次世代ソケットでも使える
- VRMやM.2 SSDも冷やせる、ウォーターブロックの60㎜ファン搭載
- 温度やアニメーションが表示可能な、2.4インチIPS液晶ディスプレイ搭載
前置きが長くなりましたが、ここからは実際に[CORELIQUID S360]をPCに組み込み、冷却性能をチェックしていきます!
いざ組み立て!空冷クーラーからの換装
[NH-D15]から[CORELIQUID S360]へ
CPU | Ryzen 5950X |
GPU | RTX 3080 Ti SUPRIM X 12G |
M/B | MEG X570 UNIFY |
RAM | KD4AGU880-36A180U |
ストレージ | CSSD-M2B1TPG3VNF (1TB) Samsung 980 (1TB) |
電源 | LEADEX V Gold PRO (1000W) |
ケース | Fractal Design Torrent TG |
現在のPC構成は表のとおりです。
ハイエンドCPUを空冷クーラーで冷やしきる、エアフロー重視な構成にしております。
前面の180㎜ファンx2基の風量を活かし、ケース内に熱を滞留させない空冷ビルドです。
今回の換装では、この180㎜ファンx2基をボトムへ移し、空いたフロントへ360㎜ラジエーターを設置していきます。フロントからの新鮮な空気でラジエーターを冷やしつつ、グラフィックボードも強力な180㎜ファンx2基でボトムからしっかり冷やす、そんなコンセプトです。
[Torrent]のフロントラジエーター構成
まずは、作業がしやすいようにグラフィックボードや空冷クーラー・ファン類を取り外していきます。
取り外した180㎜ファンx2基はボトムの専用トレーに移動し、空いたフロント部分に簡易水冷用のブラケットを装着しました。そこに360㎜ラジエーターと120㎜ファンx3基を取り付けていきます。
ポンプの向きは、いわゆる[エア噛み]防止のため下向きに設置するのが理想的ですが、長さの都合により上向きに設置しています。
また、ファンはラジーエーターに対して、[プッシュ]・[プル]どちら側にも設置できますが、今回は見た目のかっこいい[プッシュ]側に設置しました。
ファンでラジエーターをサンドイッチするために、もう3基ほど追加で[SILENT GALE P12]が欲しくなりますね。
ラジエーター類の設置が完了したあとは、CPUにグリスを塗布し、水冷ヘッドを取り付けます。
もともと水冷ヘッドにはグリスが塗布されていますが、今回は空冷クーラーとの冷却性能比較を行うため、空冷時と同じグリスに塗り直しました。
水冷ヘッド取り付け後は、配線を整えてからグラフィックボードを元に戻します。
ちなみに、水冷ヘッドから出ているUSB2.0ケーブルやファン端子などのケーブルは、十分な長さがありました。そのため、フルタワー型の[Torrent TG]でも、問題なく裏配線ができています👍
完成!
一通り組み終わった状態が上記の画像です。
[NH-D15]を搭載している時と比較して、CPUの周辺がずいぶんとスッキリしました。
今まで空冷クーラーに隠れて見えなかった、グラフィックボードのバックパネルやメモリのデザインも楽しめるようになっています。
幅が336㎜ある[RTX 3080 Ti SUPRIM X 12G]を取り付けても、ラジエーターと干渉することもなく、クリアランスは十分です。
次の項目では、空冷から簡易水冷に変更したことで、どれだけ冷却性能がアップしたのかを比較していきます!
ベンチマーク比較
システム設定
OS→[Windows 11(22000.832)] ・ BIOS→[E7C35AMS.AD0]
今回のベンチマークは、常用している軽OC設定のまま行いました。
PBO2の設定は[PPT:160W]・[TDC:176A]・[EDC:192W]です。
また、Curve Optimizerも下記のとおり設定しております。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
CCD1 | -8 | -2 | -8 | -8 | -8 | -8 | -2 | -8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | |
CCD2 | -16 | -16 | -16 | -16 | -16 | -16 | -16 | -16 |
これらの設定は変更せず、空冷の[NH-D15]を搭載した状態と、簡易水冷の[CORELIQUID S360]に変更したあとの状態で、それぞれベンチマークを実行しました。
その際、[NH-D15]のファン回転数は、1,000~1,350RPMで回るよう調整しております。
[CORELIQUID S360]の冷却モードは、プリセットの[Game Mode]を選択しています。
なお、ログは【HWiNFO】にて取得し、室温は空調で26~27℃台に保った状態です。
ベンチマーク結果
計測方法メモ
・アイドル (5分) → PCを起動してから5分間放置し、その後【HWiNFO】を立ち上げて、そこから5分経過した際の数値
・Cinebench R23 (10分) → [Minimum test Duration]を[10minutes]に設定し、マルチテストを10分間、連続実行した際の数値
・FINAL FANTASY XV (30分) → [高品質]・[3840×2160]・[フルスクリーン]設定でループ再生し、5周ほど連続実行した際の数値
アイドル (5分)
平均温度 (最大温度) | CPU | GPU | GPU Memory | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 37.5℃ (44.6℃) | 41.4℃ (42.9℃) | 44.9℃ (46.0℃) | 35℃ (36℃) | 45℃ (45℃) |
CORELIQUID S360 | 38.9℃ (47.1℃) | 40.1℃ (41.2℃) | 44.0℃ (46.0℃) | 40℃ (40℃) | 40℃ (40℃) |
Cinebench R23 (10分)
平均温度 (最大温度) | CPU | GPU | GPU Memory | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 65.9℃ (67.9℃) | 55.2℃ (62.1℃) | 62.9℃ (70.0℃) | 46℃ (49℃) | 45℃ (46℃) |
CORELIQUID S360 | 63.5℃ (65.8℃) | 54.9℃ (62.0℃) | 63.5℃ (70.0℃) | 52℃ (55℃) | 40℃ (42℃) |
FINAL FANTASY XV (30分)
平均温度 (最大温度) | CPU | GPU | GPU Memory | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 59.8℃ (66.1℃) | 73.8℃ (75.8℃) | 82.9℃ (86.0℃) | 44℃ (46℃) | 50℃ (53℃) |
CORELIQUID S360 | 58.1℃ (65.1℃) | 73.9℃ (75.7℃) | 83.9℃ (88.0℃) | 51℃ (55℃) | 48℃ (50℃) |
結果を見るに…
[CORELIQUID S360]に変更してから、アイドル時のCPU温度は少し上がったものの、平均CPU温度がCinebenchでは[65.9℃]→[63.5℃]、FF15ベンチでは[59.8℃]→[58.1℃]に低下していました。
…え?誤差の範囲じゃないかって?正直自分もそう思います。
[Torrent]が空冷に特化したケースとはいえ、360㎜ラジエーターを積んでいるのであれば、もう少し冷えても良いような気がします。最初は取り付けが上手くいっていないのかと思い、水冷ヘッドとグリスをつけ直してみたのですが、再計測しても結果はほとんど変わりませんでした。
そして気になるのが、[VR MOS]と[Chipset]の温度です。
アイドル時において、[VR MOS]の温度が[35℃]から[40℃]に上がっています。逆に[Chipset]の温度は[45℃]から[40℃]に下がっていますよね。CinebenchやFF15ベンチにおいても、[VR MOS]の温度は上がって、[Chipset]の温度は下がる傾向が見て取れます。
この状態は、以前[Torrent]のケースをレビューした際に確認した傾向とほぼ同じです。
結果をまとめると、ボトム3連ファンの回転数を上げても、グラフィックボード関連の温度はさほど下がりません。それ以外の項目では、マザーボード下部に配置されているChipsetなどは冷えるようになりますが、上部にあるCPUやVR MOSなどの温度は上昇します。
結果:回転数低めでもグラボは十分に冷える
つまるところ、ボトムに移動した180㎜ファンx2基が仕事をしすぎるため、かえってケース内のエアフローが悪くなってしまっているようです。
[Torrent]は吸気一辺倒なケースですが、フロントにある180㎜ファンの強力なエアフローのお陰で、排気ファンがなくても、ガラ空きのリアから空気が抜けていきます。しかし、このファンをボトムに移したことで、リアから空気を押し出す力が弱まってしまいました。
この状況を改善するためには、どうするべきなのか…
- ラジーエーターのファンを[プッシュ]側ではなく[プル]側に付け替える
- [SILENT GALE P12]をもう3基入手して、ラジーエーターをサンドイッチする
- 排気のファンをリアに取り付ける
- ボトムファンの回転数を限界まで弱めるか、140㎜ファンに変更する
正直、どれもパッとしないですよね。
[Torrent]の特徴を活かすのであれば、やはりフロントに180㎜ファンを取り付けたいところです。
180㎜ファンをフロントへ再設置
フロント・ラジエーターとの両立はできない?
『[Torrent]のフロントラジエーター構成』でもご紹介した通り、このケースのフロントにラジエーターを取り付けるためには、付属のブラケットを利用する必要があります。そのブラケットを取り付けると、180㎜ファンを固定するネジ穴がふさがってしまうため、フロント・ラジエーターと180㎜ファンの両立は基本的にできません。
だからといって、ラジエーターをボトムに設置するのは、[エア噛み]防止の観点からあまり好ましくはありませんよね。
ブラケットを利用せず、ケース内にラジエーターを固定する良い方法は無いものか…
(ここで「矢木に電流走る―!」)
撮影用に購入していた、長尾製作所(公式サイト)さんの簡易水冷スタンドが役に立ちそうです。
長尾製作所さんの簡易水冷スタンドで解決!
[Torrent]のボトムには、ファンを固定するための金具が装着されています。
この金具には、180㎜・140㎜・120㎜幅のファン固定用レーンがあり、簡易水冷スタンドの背もたれ部分が120㎜レーンにぴったり装着可能です。
M3ネジやナットで固定すると、ぐらつくことなくしっかり固定できます。
それでも心配な場合は、上部にあるファンとラジーエーターのネジ穴を、テグスや黒い糸などで軽く結んでおくと安心です。
私はついでに、簡易水冷スタンドに付属していた衝撃防止パッドを、ファンとラジエーターの間に挟んでおきました。お陰様で、動作時にパーツ同士がカチカチ擦れるような音もありません!
今回、簡易水冷スタンドの背もたれ部分を利用したことでCPUまでの距離が縮まり、ポンプチューブを下側にして設置することも可能になりました。
[エア噛み]対策も行えたうえに、外見もそこまで不格好にならずに装着できたので満足です!
最終形態でOCチャレンジ!
ベンチマークの再比較
フロントに180㎜ファンとラジエーターを設置した状態で、再度ベンチマークを行いました。
[CORELIQUID S360]の冷却モードは引き続き、プリセットの[Game Mode]を利用しています。また、フロントの180㎜ファンは850~1,150RPMで回転するよう調整してあります。
その他の設定や条件に変更はございません。
アイドル (5分)
平均温度 (最大温度) | CPU | GPU | GPU Memory | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 37.5℃ (44.6℃) | 41.4℃ (42.9℃) | 44.9℃ (46.0℃) | 35℃ (36℃) | 45℃ (45℃) |
CORELIQUID S360 | 38.9℃ (47.1℃) | 40.1℃ (41.2℃) | 44.0℃ (46.0℃) | 40℃ (40℃) | 40℃ (40℃) |
CORELIQUID S360 with 180㎜ FANx2 | 36.8℃ (38.8℃) | 39.4℃ (40.6℃) | 43.3℃ (44.0℃) | 35℃ (35℃) | 43℃ (45℃) |
Cinebench R23 (10分)
平均温度 (最大温度) | CPU | GPU | GPU Memory | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 65.9℃ (67.9℃) | 55.2℃ (62.1℃) | 62.9℃ (70.0℃) | 46℃ (49℃) | 45℃ (46℃) |
CORELIQUID S360 | 63.5℃ (65.8℃) | 54.9℃ (62.0℃) | 63.5℃ (70.0℃) | 52℃ (55℃) | 40℃ (42℃) |
CORELIQUID S360 with 180㎜ FANx2 | 62.1℃ (64.3℃) | 56.2℃ (61.9℃) | 64.4℃ (70.0℃) | 46℃ (50℃) | 44℃ (45℃) |
FINAL FANTASY XV (30分)
平均温度 (最大温度) | CPU | GPU | GPU Memory | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 59.8℃ (66.1℃) | 73.8℃ (75.8℃) | 82.9℃ (86.0℃) | 44℃ (46℃) | 50℃ (53℃) |
CORELIQUID S360 | 58.1℃ (65.1℃) | 73.9℃ (75.7℃) | 83.9℃ (88.0℃) | 51℃ (55℃) | 48℃ (50℃) |
CORELIQUID S360 with 180㎜ FANx2 | 56.3℃ (63.4℃) | 74.1℃ (75.8℃) | 83.6℃ (88.0℃) | 45℃ (47℃) | 50℃ (51℃) |
結果は…
結果は、CinebenchやFF15ベンチ実行中のCPU温度が[NH-D15]と比較して、平均値・最大値ともに3℃以上低くなりました!
また、[VR MOS]と[Chipset]の温度についても、概ね[NH-D15]と同じような結果になり、ボトムからの熱がトップ側に押し上げられてしまう状態は改善していそうです。
ただし、GPU・VRAMの温度については、3パターンで誤差以上の変化は見られませんでした。
これについては[SUPRIM X]の冷却性能が優秀で、冷やせるところまで既に冷やしきっている状態ということなのでしょうか?
常用時の冷却性能が確認できたところで、次は高負荷の冷却性能を見ていきましょう!
ついでに、Cinebench・マルチスコアの自己ベスト更新も狙っていきます。
Cinebenchの自己ベスト更新
OC時の設定は、軽OC設定でご紹介した内容から、下記の項目を変更しています。
- PBO Limits → [Motherboard (PPT:500W/TDC:210A/EDC:220A)]
- PBO Scalar → [x4]
- Boost Clock Override → [+150MHz]
- Thrmal Limit → [95℃]
- Global C-state → [Disable]
- CPU LLC → [Mode6]
また、フロントの180㎜ファンやポンプの回転は常に100%にしております。
この状態で、【HWiNFO】とCinebenchのみを立ち上げて、ベンチマークを実行しました。
Cinebench R20
平均温度 (最大温度) | マルチ | シングル | CPU | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 11517 | 607 | 60.4℃ (80.5℃) | 37℃ (42℃) | 43℃ (43℃) |
CORELIQUID S360 with 180㎜ FANx2 | 11849 | 613 | 54.5℃ (75.6℃) | 37℃ (42℃) | 46℃ (47℃) |
Cinebench R23
平均温度 (最大温度) | マルチ | シングル | CPU | VR MOS | Chipset |
NH-D15 | 29714 | 1545 | 60.8℃ (80.9℃) | 38℃ (43℃) | 43℃ (44℃) |
CORELIQUID S360 with 180㎜ FANx2 | 30180 | 1567 | 56.8℃ (76.3℃) | 37℃ (43℃) | 47℃ (48℃) |
結果!
[CORELIQUID S360]を利用することにより、R23でマルチスコア30,000超えを達成しつつも、最大温度を76.3℃までに抑えることができました![CPU Package Power]が最大[220W]に達していても、十分にCPUを冷やせているようです。
空冷クーラーの[NH-D15]では、ベンチマークが開始してから早い段階で80℃台に達し、そこからいまいち動作クロックが伸びていませんでした。一方のAIO水冷クーラー[CORELIQUID S360]は、空冷に比べて温度上昇が緩やかで、最大温度も70℃台に収まっています。
この温度に余裕ができた分だけ動作クロックが伸びた結果、スコアアップにつながったようです。
Asetek社の第7世代ポンプと、熱が飽和しにくい360㎜サイズのラジエーター効果が体感できました。
最後に
今回は、現行のハイエンドCPU【Ryzen 5950X】をサンプルに、MSI製ハイエンド簡易水冷【MEG CORELIQUID S360】の冷却性能についてご紹介しました。
結果は、【Ryzen 5950X】をPBO2によりオーバークロックした状態でも、問題なく冷却できるようです。
途中、ケースとの相性により、常用設定での冷却性能が空冷の時とほとんど変わらない状況になりましたが、エアフローを整え直すことで、こちらもしっかり冷却性能が向上しておりました。
こういった試行錯誤をするのも、自作PCの醍醐味ですね!
今後販売される【Intel 第13世代CPU】や【AMD Zen4シリーズ】でも、活躍が期待できそうです。
それでは!
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