原神のバージョン3.2より、アンチエイリアスの機能に[FSR2]が追加されました。
アンチエイリアスとは、キャラクターやオブジェクトなどの輪郭部分がギザギザする現象を抑え、線を滑らかに描写するための機能です。
2022/11時点でこの設定は[オフ]・[FSR2]・[SMAA]の3つが選べますが、それぞれ違いが気になりますよね。
そこで今回は、アンチエイリアス[FSR2]・[SMAA]の効果比較と、それぞれCPU/GPU負荷がどのように変化するのか検証を行いました。
【原神】アンチエイリアスのFSR2・SMAAとは?効果比較とGPU負荷についての検証
FSR2とSMAAの違い
ゲーム内SSでの比較
まずは実際のゲーム画面SSで、[FSR2]と[SMAA]の効果を比較してみましょう。
比較画像の左側が[FSR2]・右側が[SMAA]になっています。
ゲーム内の画質は画像①の内容で設定し、アンチエイリアスの箇所のみを変更してSSを撮影しました。
なお、DLDSRが有効になっているため、解像度は4K(3840×2160)です。
背景比較
背景部分を拡大して見ると、左の[FSR2]に比べて右の[SMAA]は全体的にジャギー(輪郭のギザギザ)が目立ちます。特に[赤い柱の側面]はガビガビと歪んでるように見えました。また、[看板の縁]に注目すると[SMAA]は⚡感が目立ちます。
どうやら背景の描写については、[FSR2]の方がジャギー軽減効果が高いようです。
キャラクター比較
モーション中のキャラクターを拡大してみると、こちらは[FSR2]の方がジャギーが目立っています。特に[右腕のひじ]や[左手の指]部分は、輪郭のガビガビが目立っていました。
ただし、[青い瓦]や[橋の手すり]などの背景は滑らかに描写されているようです。また、最初の画像で[棒立ち状態の万葉]を比較すると、こちらも両方とも滑らかに描写がされています。
モーション中のキャラクター(動くもの)については、[SMAA]の方がジャギー軽減効果が高いようです。
それぞれの強み
✔ 静止状態のキャラクターや背景に対しては、[FSR2]のジャギー軽減効果が高い
✔ 動いているキャラクターに対しては、[SMAA]のジャギー軽減効果が高い
以上のことからSSを撮る際は、その撮りたいシーンに合わせてアンチエイリアス設定を変更することをオススメします。例えば、躍動感あふれるキャラクター中心のSSなら[SMAA]、風景を主体としたSSなら[FSR2]といった具合です。
なお、普通にプレイする分には、そこまで気にせず好みの設定を選択すれば良さそうです。
FSR2の追加効果
FSR2(FidelityFX Super Resolution)とは、2022年5月にAMDよりリリースされた、時間的アップスケーリング技術のことを指します。
この技術がゲーム側に実装されていると、4Kなどの高画質設定が従来よりも低い負荷で遊べるようになるそうです。仕組みを簡単に説明すると、まずはモニター解像度よりも低いレンダリング解像度でゲームを処理します。その処理したデータを最終的に、モニター解像度に合わせてアップスケール(拡大)して出力することで、小さな負荷ながら高画質な映像を実現しています。
「アップスケール処理で生じる画質低下」を防ぐ工夫など、[FSR2]の詳細な仕組みが気になる方は下記の参考サイトをご参照ください!
原神におけるFSR2効果
原神において[FSR2]は、アンチエイリアスの機能として実装されています。
しかしそれだけではなく、[FSR2]を有効にした状態では、レンダリング精度を下げても画質が悪くなりにくいといった追加効果もあるようです。
実際に[FSR2]を有効にした状態で、レンダリング精度[0.8]と[1.1]のSSを比較してみましょう。
少し背景テクスチャが薄くなったような気はするものの、画質に大きな差は見受けられませんでした。
移動中のSSを比較しても、どちらも同じくらいキャラクターにジャギーが生じています。
この追加効果のメリットは、画質を維持しながらPCへの負荷を下げられることです。
以前に別の記事で、「レンダリング精度の項目はGPU負荷への影響が大きい」ことをご紹介しました。
つまり、レンダリング精度を低く設定することでGPUへの負荷を減らしつつ、[FSR]の効果で画質の低下も抑える、といったことが可能になったようです。
次の項目では、実際にどれくらいCPU/GPU負荷が変化するのかご紹介します。
負荷比較
検証方法
CPU | Ryzen 7950X |
Cooler | MEG CORELIQUID S360 |
M/B | MEG X670E ACE (7D69v12) |
RAM | KF560C36BBEK2-32 (16GB x2) |
GPU | RTX 3080 Ti SUPRIM X 12G |
M.2 SSD | Samsung 980 Pro (1TB) Samsung 980 (1TB) |
PSU | LEADEX V Gold PRO (1000W) |
OS | Windows 11 (22000.1042) |
今回の検証では、一定のルートを移動し、その時のCPU・GPU負荷を【HWiNFO】でロギングします。
これを[FSR2/精度0.8]・[FSR2/精度1.1]・[SMAA/精度1.1]の3パターンで実施し、データの比較を行いました。
なお、[レンダリング精度]と[アンチエイリアス]以外の設定項目は、3パターンとも同じ設定です。
【HWiNFO】のロギングについては、1秒ごとにCPUやGPUの使用率・消費電力といった数値をCSV出力しております。この出力されたデータを元にグラフ等を作成し、比較を行いました。
※計測開始の操作やゲーム内の移動操作は全て手動で行っており、多少の誤差が生じています。予めご了承ください。
CPU負荷の変化
平均・消費電力 | 平均・コア使用率 | |
[FSR2/精度0.8] | 68.9W | 7.8% |
[FSR2/精度1.1] | 69.0W | 7.8% |
[SMAA/精度1.1] | 69.0W | 7.9% |
まずはCPUの消費電力と使用率の変化を確認します。
消費電力・使用率の推移グラフを見ると、3パターンでほぼ同じ推移をしています。
表の平均値を比較してみても、数値の差はほぼありません。
そのため、[レンダリング精度]や[アンチエイリアス]を変更しても、CPUに対する負荷はほとんど変化しないようです。
GPU負荷の変化
平均・消費電力 | 平均・コア使用率 | 平均・動作クロック | |
[FSR2/精度0.8] | 178.2W | 36.9% | 1641MHz |
[FSR2/精度1.1] | 254.8W | 39.5% | 1898MHz |
[SMAA/精度1.1] | 251.3W | 39.4% | 1890MHz |
GPUでは、消費電力・コア使用率・動作クロックの変化を確認します。
まず平均消費電力について確認すると、[FSR2/精度0.8]が最も低い178.2Wで、他の2パターンと比較して30%ほど消費電力が少ない結果となりました。
[FSR2/精度1.1]と[SMAA/精度1.1]は平均消費電力に大きな差はなく、グラフも概ね同じ推移をしています。
コア使用率と動作クロックについても、[FSR2/精度0.8]の数値が最も低く、[FSR2/精度1.1]と[SMAA/精度1.1]は概ね同じ状態です。
以上のことから、[FSR2]と[SMAA]のどちらを選んでもGPU負荷はさほど変わらないことが分かりました。
また、[FSR2]を有効にした状態でレンダリング精度を[1.1]から[0.8]に下げると、30%ほど消費電力が減り、GPU負荷が軽くなることが分かりました。
まとめ
これまでの内容を踏まえて、[FSR2]・[SMAA]それぞれのメリット/デメリットを簡単にまとめました。
[FSR2]のメリット/デメリット
✔ 静止状態のキャラクターや背景に対して、ジャギーの軽減効果が高い
✔ レンダリング精度を[0.8]などの低い設定にしても、画質が維持される
✗ モーション中のキャラクターなど、動いている対象ではジャギーが目立つ
[SMAA]のメリット/デメリット
✔ モーション中のキャラクターなど、動いている対象にジャギーの軽減効果が高い
✗ 背景に対するジャギーの軽減効果は[FSR2]に一歩及ばない
単純なアンチエイリアス比較では、背景重視な[FSR2]・アクション重視な[SMAA]といった違いがあるようです。どちらを選んでもPCへの負荷は変わらないため、好きな方を選択しましょう!
ただし、レンダリング精度を[1]未満に設定している場合は、[FSR2]を選択することで画質が向上するため、こちらを選ぶことをオススメします。
最後に
今回は、アンチエイリアスのFSR2とSMAAの効果比較と、CPU/GPU負荷の変化について検証を行いました。
結果はすでに述べた通りですが、今後、HoYoverse側でFSR2用のモーションベクトル調整が進み、[Temporal Feedback]がさらにブラッシュアップされることで、FSR2のクオリティがさらに上がる可能性があります。もしかしたら、弱点になっているモーション中のジャギーも解消されるかもしれません。その点は予めご留意ください。
FSR2は2022年5月にリリースされた技術ですが、さっそくゲーム側に実装する運営の積極的な姿勢は好感が持てますね!
それでは!
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