11月のブラックフライデーシーズンに、ArkさんでZEN3用のOCメモリを購入しました。
✔ 16GBの2枚組で約14,000円と、価格がネイティブメモリとさほど変わらない
✔ ヒートシンクが低く、使用中の空冷クーラーとの干渉が最低限で済みそう
そんな様子でしたので、EssencoreのKD4AGU880-36A180Uを選びました。
今回は、購入したメモリで実際にXMPや手動OCを試してみたお話です。
メモリのオーバークロックは初心者ですが、どうぞよろしくお願いします!
ZEN3用にOCメモリを購入した話
[KD4AGU880-36A180U]の製品情報
Essencoreとは
今回購入したメモリの製造元【ESSENCORE社】は香港に本社があり、SKグループの100%子会社だそうです。SKグループといえば、DRAMシェア率・世界2位の【SK Hynix社】を抱えており、メモリについては十八番ですね。
あまり聞きなじみのないメーカーだし値段もリーズナブルだったので、調べるまでは正直心配でした。
余談ですが、2021年秋時点でのDRAMシェア率は[ Samsung > SK Hynix > Micron ]の順になっているようです。
製品仕様の確認
メーカー | Essencore |
シリーズ | KLEVV BOLT X |
型番 | KD4AGU880-36A180U |
サイズ | (L)133 x (W)33 x (H)6 mm |
メモリタイプ | 288Pin DDR4-UDIMM |
XMP メモリ速度 | DDR4-3600 (PC4-28800) |
XMP レイテンシー / 電圧 | CL18-22-22-42 / 1.35Volt |
合計メモリ容量 | 32GB (16GB x2枚) |
XMPを有効にすると3600MHzで動作するオーバークロックメモリです。日本国内では、2020年8月頃より流通しています。
2枚組の計32GBモデルで、Arkさんのセール価格13,990円にて購入しました。2021/12/21時点での最安値はAmazonの16,060円です。(価格.com調べ)
BOLT Xシリーズには、XMP適用時3200MHzのモデルもあります。外見は全く同じですので、購入する際は選び間違いがないようご注意ください。
DRAMコンポーネントは灰D
Thaiphoon Burnerにて確認したところ、DRAMコンポーネントはSK HynixのD-Die(DJR・通称:灰D)が使われており、Rankはデュアルランクした。同じSKグループなのでBOLT Xシリーズは基本的に、SK Hynix製のコンポーネントが使用されているとのことです。ただ、それがC-DieかD-Dieなのか、具体的な種類までは実際に購入してみないと分からなさそうです。
外観の確認
製品イメージ (公式サイトより)
ヒートシンクはアルミ製で、若干の光沢があります。LEDなどの装飾はなく、ヒートシンク付きOCメモリの中では比較的シンプルなデザインです。また、メモリの高さが33mmと低いのもポイントです。
大型空冷クーラーの中には、付属のファンとメモリが干渉する物もあります。
添付画像のようなNH-D15との組み合わせでは、フロント側のファンを若干上にずらす必要がありますが、それでもCPUクーラーの高さは167mmで済んでいます。ちなみに、ヒートシンク無し31mmメモリを利用した場合だと、CPUクーラー側は高さ165mmです。
手動OCを含めた動作確認
動作環境
CPU | Ryzen 5950X |
CPUクーラー | NH-D15 chromax.black |
M/B | MEG X570 UNIFY (7C35vAB3) |
メモリ | KD4AGU880-36A180U |
グラフィックボード | RTX 3080 Ti SUPRIM X 12G |
ストレージ | CSSD-M2B1TPG3VNF (1TB) Samsung 980 (1TB) |
電源 | LEADEX V Gold PRO (1000W) |
OS | Windows 11 (ビルド22000.376) |
今回はメインPCのメモリを換装します。動作環境は上記のとおりです。
なお、CPUはPrecision Boost OverDrive 2 (PBO2)にてOCを行っております。
PPT 160W / TDC 144A / EDC 176A
Curve Optimizer → 良コア2つのみNegative -2 / その他個別にNegative -8~-12
XMPの適用
BIOSからXMPを有効にし、【Zen Timings】にてメモリ情報を確認しました。
定格状態ではメモリ電圧1.2V・メモリクロック2666MHz-IF1333で動作しております。XMPを適用するとメモリ電圧が1.35Vに上がり、メモリクロック3600MHz-IF1800で動作するようになりました。
手動OCで3800MHz-IF1900に調整
BIOS上で設定を行い、手動OCで3800MHz-IF1900に調整しました。
安定して常用できる範疇にするため、メモリタイミングはCL18-21-20-40にしております。メモリ電圧は1.33Vです。サブタイミングなどの細かい情報が気になる方は、画像をご確認ください。
OCCTで1時間ほど負荷をかけたり、DRAM Calculatorのmemtestでsingle100%を実行したりといったテストではエラーは出ず、2週間ほど常用していても今のところ安定しています。
数値を調整→各種ストレステストを実行→再調整といった地道な作業でした…
IFについての補足
当ブログでは、「Infinity Fabric」を「IF」と略して表記することがあります。この 「Infinity Fabric」 とは、AMD RyzenシリーズのCPUで採用されている内部バスの名称です。
メモリのクロック周波数と合わせてIFのクロックも上げることで、CPU内部でのデータのやり取りも早くなりますので、処理速度が上がります。なお、メモリクロックとIFは基本的に、1:1で同期させて動かすと最も性能が出やすいようです。
ベンチマーク結果の比較
比較条件
メモリ速度 | タイミング | MCLK & FCLK | メモリ電圧 | |
定格 | DDR4-2666 | CL19-19-19-43 | 1333MHz | 1.2V |
XMP | DDR4-3600 | CL18-22-22-42 | 1800MHz | 1.35V |
手動OC | DDR4-3800 | CL18-21-20-40 | 1900MHz | 1.33V |
今回は[定格・XMP・手動OC]の3パターンでベンチマークを行い、その結果を比較します。
メモリ以外の設定は、[動作環境]の項目で記載したものから変更ありません。
比較するベンチマークソフトは【DRAM Calculator】【FF14】【FF15】の3種類です。
いずれはDDR4-3200のネイティブメモリとの比較も兼ねて、もっと多くのベンチマークで検証を行いたいですね。しばしお待ちを!
DRAM Calculator のベンチマーク結果
Time | |
定格 | 170.29 |
XMP | 141.77 |
手動OC | 102.58 |
まずは【DRAM Calculator for Ryzen】通称:計算機のベンチ結果です。このテストでは、メモリの動作が高速であればあるほどTimeが縮まります。
定格→XMPではタイムが約17%減、定格→手動OCでは約40%減となりました。
意外なことにXMP→手動OCの差も大きく、タイムは約28%減となっています。手動OCの方はサブタイミングも含めて調整されているため、その効果が表れているようです。
FF14のベンチマーク結果
スコア | |
定格 | 18,798 |
XMP | 19,480 |
手動OC | 20,059 |
お次は【ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク】です。解像度WQHD(2560×1440)の最高品質にてテストを行いました。
このベンチマークは、メモリ速度がスコアに影響しやすいと言われています。
定格→XMPでは約3.6%スコアが上がり、定格→手動OCでは約6.7%スコアが上がっております。また、XMP→手動OCでも2.9%ほどスコアが伸び、計算機テスト同様に差がありました。
FF15のベンチマーク結果
スコア | |
定格 | 13,025 |
XMP | 13,154 |
手動OC | 13,221 |
最後に【ファイナルファンタジーXVベンチマーク】です。 解像度WQHD(2560×1440)の高品質にてテストを行いました。
FF14ベンチ同様、こちらもメモリ速度がある程度スコアに影響します。
定格→XMPでは約0.9%スコアが上がり、定格→手動OCでは約1.5%スコアが上がっております。また、XMP→手動OCでも0.5%ほどスコアが伸びていました。割合でみるとFF14ほどの開きはありませんが、絶対数でみるとスコアは着実にアップしているようです。
最後に
今回はOCメモリの【KD4AGU880-36A180U】を購入し、実際にXMPや手動OCを試してみました。
正直、「定格とOC状態のベンチマーク結果を見るに、ゲームとかでは数%の微々たる差しか出てないのね」と思われる方も、そこそこ居られるかと思います。自分もどちらかと言えばその考えで、今までは定格で安定運用できるネイティブメモリを使用していました。
しかし、外見(と値段)に惹かれてこのOCメモリを購入してからは、OCメモリには自分でチューニングする楽しさ、それがベンチなどのスコアに現れる嬉しさなんかもあるんだな~と実感しました。
時期やセール状況によっては、ネイティブメモリと大差ない価格でOCメモリが売られておりますので、ぜひ選択肢の一つに加えてあげてください!
自己責任にはなりますが、調べながらメモリをチューニングしていくのは面白かったですね。より弄りがいのあるPCになったので満足です!
以上、ZEN3用にOCメモリを購入した話でした。
それでは!
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