今回は、PC起動後にDisplayPort接続のモニターが映らない不具合についてのお話です。
どうやらGeForce RTX 3080TiやRTX3060などの一部製品で、Display ID機能に互換性の問題が生じているようです。
自分が使用している3080Tiにも該当の不具合が発生していました…
この不具合は、NVIDIA公式から提供されている[DisplayID用のGPUファームウェア アップデートツール]を実行してvBIOSを更新することで解決できました。
「DP接続だとBIOS画面が映らない」といった問題があり、RTX 3080TiかRTX3060を利用されている方については、この問題に該当しているかもしれません。
具体的な経緯や対処方法をメモ代わりに残しておきますので、同様の不具合でお困りの方はご参照ください。
【RTX3080Ti・RTX3060要注意】PC起動後にDP接続のモニターが映らない不具合について
問題について
不具合の内容
私は普段、デュアルモニター環境でPCを利用しています。
PCを起動すると、最初にマザボメーカー系のロゴが表示され、しばらくするとWindowsのログイン画面が出てきますよね。
このマザーボードメーカのロゴが毎回サブディスプレイに表示され、Windowsのログイン画面はメインディスプレイに表示されるという現象が生じていました。また、BIOSを立ち上げると、サブディスプレイの方にしかBIOS画面が表示がされません。
正直さほど困るような内容ではなく、最初は「こんなもんかー」と受け流していました
接続はメイン・サブ両方ともDisplayPortでモニターと繋いでおります。
試しにサブモニターを外してみると、メインモニターにはWindowsのログイン画面が表示されるまで何も映らず、BIOS画面も表示されません。
また、メインモニターをDisplayPort接続からHDMI接続に変更すると、BIOS含め全てメインモニター側に表示されます。
詳細なPC環境は下記表のとおりです。
CPU | Ryzen 5950X |
Cooler | NH-D15 chromax.black |
M/B | MEG X570 UNIFY |
RAM | KD4AGU880-36A180U |
GPU | RTX 3080 Ti SUPRIM X 12G |
ストレージ | CSSD-M2B1TPG3VNF (1TB) Samsung 980 (1TB) |
電源 | LEADEX V Gold PRO (1000W) |
OS | Windows 11 |
メインモニター | ASUS ROG XG279Q |
サブモニター | ASUS VG258 |
原因は…
冒頭でも記載したとおり、GeForce RTX 3080TiやRTX3060の一部製品で、Display ID機能にバグが生じているようです。
DisplayIDとは「VESAによって規格化された、GPUにディスプレイデバイスの機能を説明するためのメタデータ」だそうです。GPUがこのメタデータからモニターの機能を確認し、高リフレッシュレートやHDRなどの機能を有効にしています。そのため最近のDisplayPort搭載モニターには、DisplayID機能がほぼ組み込まれています。
今回のケースでは、一部のDisplayID搭載モニターとGeForce RTX 3080Ti・RTX3060の間に互換性問題が生じ、「OSがロードされるまで起動時に空白の画面が表示される」といった症状が起きているようです。
対応について
vBIOSの更新
公式曰く「DisplayIDを使用するモニターとの互換性を確保するために、NVIDIA GPUファームウェアの更新が必要」とのことです。
上記に記載した公式サイトより【NVIDIA GPU Firmware Update Tool for DisplayID】を入手しましょう。該当のツールは、[Click here]のリンクからダウンロードできます。
ダウンロードした【NVIDIA_DisplayID_Firmware_Updater_1.0-x64.exe】を管理者として実行すれば、vBIOSの更新が行なえます。
更新に際して、注意項目がダウンロードページに掲示されています。
現在空白の画面が表示されている場合は、ツールを実行するために次の回避策のいずれかを試してください。
- DVIまたはHDMIを使用して起動する
- 別のモニターを使用して起動する
- ブートモードをUEFIからレガシーに変更す
- 代替グラフィックソース(セカンダリまたは統合グラフィックカード)を使用して起動する
ツールを実行する前にすべてのアプリが閉じていることを確認し、バックグラウンドで保留中のOSアップデートがないことを確認してください。
NVIDIA GPU Firmware Update Tool for DisplayID
最初の回避策はそもそも画面が映っていない人向けのようですが、念の為、HDMI接続に変えるといった簡単にできる回避策を行っておいたほうがいいかもしれません。
また、OSの更新については、vBIOS更新中に意図せぬ再起動がかからないよう、しっかり確認を行っておいたほうが良さそうです。アプリについては、PCをセーフモードで起動することで、最小限のドライバーだけを読み込むことができます。
ちなみにRTX 3080 Ti SUPRIMは、グラボ本体のスイッチで切替可能な【Dual BIOS機能】がついています。
最悪、失敗しても片方のモードは使える状態なので安心です!
両方のBIOSモードで同じエラーが発生していたので、片方がうまく修正できたのを確認後、もう片方も更新しておきました。
それ以外の回避策
「vBIOSを更新したくない」といった場合には、上記の回避策4つの中から支障がなさそうなものを1つ選んで、それを実施し続けるしかなさそうです。
「DP以外のケーブルでモニターを接続する」か、「UEFIモードをレガシーモードに変更する」といった対応が選びやすそうですが、それぞれデメリットもあります。
DP以外のケーブルでモニターを接続する場合、[G-SYNC]や[G-SYNC Compatible]といった機能が有効化できなくなります。RTX 3080TiやRTX3060を利用しているユーザー層はゲーマーな方が多いでしょうし、せっかくの機能が使えなくなってしまうのは少しもったいないですよね。
UEFIモードをレガシーモードに変更する場合、レガシーモードでは2TB以上のドライブを処理できません。また、起動プロセスを改ざんするマルウェアに対して弱くなってしまうというデメリットもあります。さらにレガシーモードのままOSをクリーンインストールした場合、パーテーションがMBR形式で作成されてしまい、UEFIモードに戻した際にGPT形式への変換作業が必要になるなど、余計な手間がかかります。
やはり一番はvBIOSを更新してしまうか、さほど困っていないのであれば問題を放置する方が良さそうです。
追記:GTX 10xx以前でも同様の不具合あり
GeForce 10・TITAN・900・700シリーズでも、「DP接続だとBIOS画面が映らない」といった問題が生じる場合があるようです。
こちらについても、NVIDIAから提供されている[GPUファームウェア アップデートツール]を実行することで、問題が解消できます。お困りの方は下記のサイトを参考に、ツールを実行してみてください。
最後に
今回は、PC起動後にDisplayPort接続のモニターが映らない不具合についてのお話でした。
自分の環境では幸いなことに、問題が生じていたのがメインモニターだけだったので、BIOSがサブモニターでしか操作できないことくらいしか支障はありませんでした。
ただ、直せるのであれば直しておきたいですよね
対象が限られている上に、解決方法が見つけにくそうな不具合だったので備忘録としてまとめた次第です。
それでは!
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